光線療法の多彩な作用

光化学作用

太陽光による皮膚でのビタミンD産生

生体内での物質産生

光化学作用

皮膚が可視総合光線に含まれる太陽光に比して僅かな紫外線や波長の短い可視線を吸収すると、光化学作用により色々な光産生物質が産生されます。その中で科学的に解明されているものは、すでに50種類以上におよび、全身の様々な器官をコントロールしています。代表的な光産生物資のビタミンDには、次のような作用があります。

  • 骨の強化
  • 生活習慣病、アレルギー性疾患の治療と予防
  • 角化細胞の増殖抑制
  • 発ガン抑制
  • インスリン分泌の調節など

血液循環の改善作用

血行の改善

血液循環の改善作用

可視総合光線に含まれる太陽光に比して僅かな紫外線は血管を拡張させ、可視線と赤外線は、からだを温めて血液循環を改善します。また、冷えや過労・ストレスなどで過緊張した交感神経を緩め、副交感神経の働きを高めることにより、血管を拡張させ、血液循環を改善します。さらに、光線療法では、特に下肢をよく照射することで末梢部から心臓への血液の戻りを良くし、からだ全体の血液循環を改善します。

生体リズムの調整作用

生体リズムの調整

生体リズムの調整作用

1日は24時間ですが、人間の体内時計は25時間といわれています。この1時間のズレを調節するのが可視総合光線に含まれる可視光線です。可視光線で昼と夜を知り、交感神経・副交感神経の切り替えを行い生体リズムを調整しています。また、可視光線は、生体リズムに関係する種々のホルモン分泌を促進します。特に脳内で産生されるメラトニン・セロトニンは、不眠・時差ぼけ・季節性うつ病などの改善にも作用します。

鎮痛・消炎(腫脹吸収)

痛みの軽減

鎮痛・消炎(腫脹吸収)

痛みは、色々な原因によって知覚神経が刺激され、脊髄を通って、大脳で痛みとして認識されます。脊髄を通った刺激の一部が交感神経と運動神経を刺激し、前者は血管を収縮させ、後者は筋肉を緊張させ、血行が悪くなり、酸素や栄養が不足します。さらに、患部では、炎症により発痛物質が生成され、一層知覚神経を刺激します。
可視総合光線療法は、収縮した血管を拡張し、緊張した筋肉を緩め、温熱作用と相まって、血行を改善し発痛物質であるプロスタグランジン、ヒスタミン、ブラジキニンなどを速やかに除去し、酸素や栄養を供給しますので痛みの緩和に有効です。また、痛みの軽減作用とともに強い抗炎症作用があるため、痛みと腫脹をともなう様々な疾患に有効です。

免疫増強作用

免疫の調整

免疫増強作用

免疫力とは、さまざまな外敵からからだをまもるために備わった防衛システムのことです。免疫の最前線は、外界と接するのどや鼻・気管支・胃・腸などの粘膜組織で、外界からの細菌・ウイルス・異物などを排除する働きがあります。体内に侵入した病原体や体内で発生したガン細胞などの異物を排除するのは白血球の働きです。可視総合光線療法は、血行を改善し、体温を上げることで、粘膜の働きを良好にし、白血球の遊走能・食菌能を高めるため免疫力を強化する働きがあります。多くの原因不明の疾患には自己免疫異常が関与していることから、可視総合光線療法による免疫調節作用の応用範囲は広くなっています。

肉芽形成作用

創傷・火傷の回復

肉芽形成作用

創傷部への可視総合光線療法は、まず血行を改善することにより炎症物質や老廃物の除去を速やかに行います。さらに栄養・酸素が十分に送られますので、患部組織の再生が促進されます。加えて、本療法に用いる光線に含まれる可視光線の赤色光は、創傷治癒に必要な肉芽形成を担当する線維芽細胞の増殖を促す作用があり、肉芽発生を促進します。線維芽細胞の増殖が活発になるのは夜間ですが、光線療法は、夜間の睡眠を良好にする作用もあるため、肉芽形成がさらに促進されます。

殺菌作用

アトピー・ニキビの予防

殺菌作用

細菌の存在を知る以前から日光消毒は行われていましたが、1877年に太陽光線の殺菌作用が「紫外線」の作用であることが明らかにされました。可視総合光線療法に用いる光線にも僅かな紫外線が含まれますので、傷口の殺菌やアトピー性皮膚炎などの皮膚病における細菌の二次感染の予防、水虫菌の殺菌、また風邪や気管支炎など細菌、感染症の治療や予防にも有効です。

解毒作用

肝機能の活性化

解毒作用

毒物は、口から入る外因性のものと、体内で発生する内因性のものがあります。外因性の毒物に対しては、可視総合光線療法では、異物排泄作用が高められ、嘔吐や下痢などによって体外への排泄を促進します。体内の毒物の解毒に対しては、肝臓・腎臓が関係しますが、可視総合光線療法では、それぞれの臓器の働きを活発にすることで、解毒作用を促進します。
なお、青色領域の可視光線は、血中に増加した脂溶性ビリルビンを水溶性のビリルビンへ変化させる作用も認められており、新生児重症黄疸の予防と治療にも利用されています。

コレステロール低下作用

コレステロールの低下

コレステロール低下作用

可視総合光線療法は脂質代謝や肝臓の働きを改善し、細胞へのコレステロールの取り込みを促進することで、血中の余分なコレステロールを減らします。また皮膚内では、7-デヒドロコレステロールをプレビタミンDに変換してビタミンDの産生を促進しますので、それによっても余分なコレステロールを減らします。

消痒作用

かゆみの改善

消痒作用

湿疹やじんま疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚では、炎症や免疫異常、ヒスタミンなどの痒みを引き起こす物質の増加などにより神経線維が刺激されることで痒みが発生します。可視総合光線療法は痒みの原因である炎症や免疫異常を是正し、痒みを引き起こす物質の産生を抑制することで、痒みを抑えます。また皮膚病だけでなく糖尿病、腎臓病、肝臓病など様々な疾病に起因して起こる痒みにも効果がみられます。

利尿作用

夜間頻尿の改善

利尿作用

腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、余分な水分と共に尿をつくっている臓器です。可視総合光線療法は、全身の血液循環を改善し、腎臓に流入する血液の量を増やします。さらに、腎臓自体の働きも良くすることで、尿量を増やす利尿作用に優れています。この利尿作用により高血圧、心臓病、腎臓病、種々のむくみ、夜間頻尿などの改善にも役立ちます。

筋力・運動機能向上作用

筋力や運動機能の向上

筋力・運動機能向上作用

可視総合光線療法の光と温熱作用により、筋肉への血行が良好になり、筋肉・関節が柔軟になるため、筋力が高められ、運動機能も向上します。また、可視総合光線療法ではビタミンDが産生されますが、ビタミンDには、骨組織の強化のみではなく、筋肉増強作用やからだの動揺抑制作用が最近明かにされています。長寿高齢化社会においては、筋力や運動機能向上の作用は、転倒や骨折を予防し、元気に動けるからだでいるためにたいへん大切なことです。

呼吸機能改善

全身に酸素を十分に供給

呼吸機能改善

可視総合光線療法の光と温熱は、呼吸に関係する筋肉を柔らかくし、動きを良くすることで、深く大きな呼吸が可能となり、酸素を十分に取り入れられるようになります。また、可視総合光線療法の可視線を吸収した赤血球は、酸素運搬能力が高まるため、血液循環が改善されることとともに、全身に酸素を十分に供給することができるようになります。

神経機能改善

しびれや痛みの改善

神経機能改善

可視総合光線療法は光と温熱作用により末梢神経への血流を改善し、神経を活性化します。受傷した末梢神経の回復を促進し、神経の働きを良くするため神経機能が改善されます。神経麻痺の回復を促進したり、末梢神経障害による手足のしびれ・痛みの改善に有効です。

睡眠改善

睡眠障害の改善

睡眠改善

脳の充血や心身の緊張、からだの冷えなどがあると、不眠症になったり、質の高い睡眠をとることができません。可視総合光線療法は、全身の血液循環を良好にし脳充血を取り、自律神経を調節して心身の緊張を和らげてリラックスさせます。また、睡眠に深く関わる脳内ホルモンの分泌も調節しますので、心地よい睡眠の導入を促します。

食欲・便通改善

便秘の改善

食欲・便通改善

可視総合光線療法による皮膚、内臓の血行改善とヒスタミンなどの光産生物質の作用により、消化液の分泌促進や蠕動運動を改善し消化・吸収を円滑にするため、食欲を増進させるとともに、便通を良好にします。